糖尿病の自己管理による食事制限は大変重要ですが、患者1人が自力で管理を継続することは難しいため、なおざりに
しているうちに重症化してしまうことが少なくありません。また、患者のほとんどが壮年期にあるため、社会的・家庭的役割が大きく
健康管理に集中できず中断を余儀なくされます。昼間は働いているため、外食が多かったり、つき合いで酒席に参加する機会もあり、
食事のコントロールがままなりません。さらに、目立った症状が出にくい疾患であるため、真剣に取り組む意欲が低いのが現実です。
こうした現状を憂えて、金沢社会保険病院では、2003年2月から「夜間糖尿病教室」を開催しました。毎月第3金曜日の19時30分〜21時00分
という時間のなかで、糖尿病という病気について、合併症の怖さについて医師の話を聞き、食事療法の実践方法について管理栄養士から学びます。
昼間に月4〜6回行っている糖尿病教室に参加するのは、高齢者や女性がほとんど。一方、夜間糖尿病教室では、壮年期の男性が積極的に参加するように
なったそうです。家族と一緒に参加することもあるため、療養に最も必要な家族のサポートを受けることができるので、継続できることが多いようです。
管理栄養士の橋本寿美子さんは、「糖尿病になったら食べられないんじゃない、食べてもいいのだけど量や配分を考えよ
う、ということを知ってもらうと、患者さんの肩の力が抜けて“それならできる”という気持ちになってくれるんです」と語ります。
市内の60くらいの医療機関にも案内状を配るなどして、現在までに170名の患者さんが受講しているといいます。
「糖尿病だとわかったら、仕事をやめさせられるのではないか、忙しくて時間がとれない、という事情から治療を後回しにしている患者さん
への動機づけや正しい知識の提供などの効果があります。これも、医師や栄養士との協力体制があったから実現したのです」と看護師・糖尿病
療養指導士の野村仁美さんは語ります。
「食事コントロールは続けていくことが大切。自分一人ではできないことを私たちが手伝うことで継続できたらそれで成功です。いつも食べて
いたおやつが減ってきたとか、そんなことでもいいんです。そういう成果がみられたときはとっても嬉しいですね」と橋本さんは笑顔で話して
くれました。