ダイエットといえば老若男女を問わず関心の高い話題です。これから食べ物がおいしくなる季節、 うっかり食べ過ぎて体重が…何てこともよくある話です。近頃、ちまたで話題となっている低 インシュリンダイエット。テレビ番組を初め書店やコンビニの書籍などでも、この話題を取り扱ったもの を多くみかけるようになりました。では医療の現場において低インシュリンダイエットの元となった GlycemicIndexという指標はどのように扱われているのでしょうか。

GIとはGlycemic Indexの頭文字を取りジー・アイと言ったり、グリセミック・インデックスと 発音しておりますが、最近では英語の発音通りグライセミック・インデックスと呼ばれる事が多くなりました。 これは、カナダのトロント大学のデビットジェンキンスさんらが1981年に発表した概念であり、ブドウ糖 (糖質50g相当)を摂取開始から2時間までの血糖上昇下面積(IAUC)を100として、ブドウ糖と同糖質量 (※)の食品を摂取し、面積(図1・2)を比べ数値化したものであります。同じ糖質量の食品であっても、 素材が異なれば血糖値への影響は同様でないという主張であります。
(図1)

(図2)

【血糖上昇下面積の求め方】
空腹時血糖値を0とし、各ブロック毎の面積を計算し合算する。
計算式
A=22×15÷2=165
B=(22+55)×15÷2=577.5
C=(55+40)×15÷2=712.5
D=(40+20)×15÷2=450
E=(20+10)×30÷2=450
F=10×15÷2=75
(Gはマイナスとなったため、引かない) 合計2430となる。
※ 5訂食品成分表では糖質という表示は無いので、炭水化物から食物繊維を除いた数値を糖質とします。 (市販の食パンを例にすると、炭水化物は100g当り46.7gであり、食物繊維は2.3gなので、 糖質は44.4gとなる。したがって糖質50gでは市販食パン113gとなる。)
NT氏の書かれている「低インシュリンダイエット」本が、ベストセラーとなって書店で売られております。 この本の中で紹介されているGIは、私どもが研究をしているGIと同じですが、この本のGIの数字は どのように計測された物なのか?、何処で発表されたデータを基に作成されているか?、疑問が出ております。 というのは、GIはカナダやオーストラリア人を中心に進められた研究であり、海外では2002年に 750種類以上の食品のGIが発表されていますが、日本人による日本食のGI研究は大変少なく、発表されて いる食品のGIは現在30種類程度であり、NT氏の本よりはるかに少ない状態であるからです。したがって、 この本について患者様等から問合せや質問を受けた場合、そのことをちゃんと理解した上で指導していただきたい と思います。また、この一連のダイエット本の中には、YJ氏の書かれた本「低インスリンらくらくダイエット」等は、 しっかりしたデータを基に書かれいてる物もありますので、補足をさせていただきます。
外国の文献からの数字、NT氏の「低インシュリンダイエット」本の疑問が出ている数字、 2000・2001年に発表された杉山・若木らの数字と違いが出ております。いずれにしろ日本人のための 日本食についてのGIを早急に作成する必要が出ております。
カナダやオーストラリアなどは20年以上の研究成果があり、FAO/WHOをはじめカナダや オーストラリアなどの栄養士会、国際糖尿病学会などがGIの利用を推奨しております。日本では 研究例が少ない為に、そこまでは進んでおりませんが、先行で研究してきた杉山・若木らの研究や 当院での研究では、健常者において食品毎のGIは違いがでており、高GI食品・中GI食品・低GI 食品と少しずつ分かって来ました。今後の研究で糖尿病や耐糖能低下に有効かは、期待されるところですし、私どもも期待しております。
7月20日に東京で日本GI研究会が開催されました。当院の発表は、何もつけない食パンと 「ラカントのファイバージャム」をつけた食パンを糖質50gに合わせ女子大生(健常者)11名に摂取し、 GIを計測致しました。その結果、米飯のGI、100に対して、食パンのみ80、ラカントのファイバージャム 付き食パン79とほぼ同数の結果となりました。これは、甘いジャムをつければ血糖が上がりGIも高く なると考えるのが当たり前と思われますが、結果として上がらなかったということになります。 したがって、血糖をコントロールしている方には、「ラカントのファイバージャム」は有効な食品といえると思われます。
今年7月、日本GlycemicIndex研究会が発足致しました。林先生は発起人の1人であり、 日本における正しいGlycemicIndexの取扱いについて手掛けられております。GlycemicIndex(以下GI)に ついては国際的に様々な評価がなされており、オーストラリアやヨーロッパ諸国においては糖尿病の栄養指導に 用いられているところもあります。しかし、日本ではGIについて誤った情報や考え方が流れております。 今後、日本GI研究会の活動により医療の現場においてGIを用いた新しい栄養指導が行なわれることにより、 「食の質」の更なる向上が期待されます。