健康辞典「栄養成分のこと」

私達の身体は約95%が有機物(炭素・水素・酸素・窒素)で構成されています。そして、栄養学的には体内で合成されず、食べ物から摂取する必要がある必須元素をミネラル(無機物)と呼びます。人体を構成する約5%がミネラルからなり、生命を維持するためには、多種類のミネラルが必要になります。
ミネラルの中でも、比較的多く存在するものを「準主要元素」と呼び、残りのミネラルは「微量元素」と呼んでいます。準主要元素は身体の中でイオンとしての働き、微量元素は酵素やビタミンが活躍するための触媒としての働きをすることが多いです。どのミネラルも、生命活動を維持するうえで非常に重要な役割を果たしています。
一概に外食やインスタント食品などを否定するわけではありませんが、やはりこれら多くの食品には準主要元素をはじめ微量元素も不足していることが多いようです。
| 日本人のミネラル所要量と主な欠乏症】 | |||
| 取得目安量* | 主な働き | 主な欠乏症 | |
|---|---|---|---|
| カルシウム | 700mg | 骨や歯を形成する 神経の興奮を抑制する |
発育不全、骨の異常、骨粗鬆症、神経過敏 |
| 鉄 | 12mg | 赤血球のヘモグロビンの必須成分 | 鉄欠乏症貧血、疲労、健忘、発育不全 |
| マグネシウム | 300mg | 約300種類の酵素反応を活性化 | 生育障害、神経の興奮、性格の変化 |
| 亜鉛 | 10mg | タンパク質の合成に関与する | 味覚障害、皮膚炎、成長障害、創傷治癒障害、うつ状態 |
| 銅 | 1.8ug | ヘモグロビン合成に関与する | 貧血、骨折しやすくなる |
| マンガン | 4mg | 糖・脂質代謝、骨形成に関与する | 骨の発育低下、生殖能力低下、運動失調 |
| ヨウ素 | 150mg | 発育促進、基礎代謝を促進する | 甲状腺種、疲れやすい |
| セレン | 50μg | 抗ガン作用、抗酸化作用 | 疲れやすい、男性不妊症、脱毛、免疫力低下 |
| クロム | 30μg | 糖代謝をよくする | 耐糖能の低下、昏迷 |
| モリブデン | 25μg | プリン体の代謝に関与する | 成長障害 |
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2003年、厚生労働省は“糖尿病が強く疑われる人”は約740万人で、予備軍に当たる“可能性が否定できない人”を含めると、成人の6.3人に1人に当たる1620万人にのぼるとする糖尿病実態調査(2002年)の速報を発表しました。この数値は前回1997年に行われたときと比較し、強く疑われる人で50万人、全体で250万人増加しています。もはや日本人の国民病と言っても過言ではありません。
そんな糖尿病の予防に亜鉛やクロムなどのミネラルが深く関与していることが注目されはじめています。例えば亜鉛は骨や腎臓、筋肉、前立腺などに多く含まれており、身体の成長や健康の維持に大切なミネラルです。そして、血糖コントロールに重要な役割を果たすインスリンをつくるために重要なミネラルでもあります。またクロムはインスリンの働きを助け、正常な糖代謝を維持するのに必要なミネラルであり、腸内ではクロム含有耐糖因子(GTF)の構成成分になります。この因子はインスリンが血糖値を下げる働きをする際に共同して働く必須成分です。
最近の学会報告によると血糖コントロール不良時には、亜鉛やクロムなどのミネラルが尿中に多く排泄されていることが報告されており、これは糖尿病患者の体の中ではミネラルが正常に代謝できていないことを示しています。
ここでは注目されている2つのミネラルについてのみ述べましたが、糖尿病の予防には食事中の炭水化物の質と量、そしてビタミンB群をはじめとするさまざまな栄養素のバランスが重要となります。生活習慣病のひとつである糖尿病は、食生活や運動など生活習慣をあらためることで予防と改善が十分可能な病気です。
舌には甘い、塩辛い、酸っぱい、苦いなどの味を感じる味蕾(みらい)と呼ばれる感覚器細胞があります。そこから刺激が味覚神経を通って脳に伝わり、味として感じることができます。
この味蕾は加齢とともに少なくなり、神経の伝わり方も低下してしまうので、高齢者では味覚の低下が起こりやすいといわれています。お年を召した方で「味が薄い」と言ったり、味の濃い食事をつくる方は、このことが原因かもしれません。もちろん味覚障害の原因には、薬の副作用や亜鉛摂取不足、突発性のものとさまざまです。しかし、若い女性や小学生に多く見られる味覚障害は、偏った食事や過度なダイエット、朝食の欠食、外食など食事由来の亜鉛欠乏が原因であるといわれています。
私たちの身体をつくる細胞は絶えず新しく生まれ変わっています。この細胞の生まれ変わるサイクルを新陳代謝といいますが、味蕾細胞は新陳代謝が特に盛んな細胞です。新陳代謝には亜鉛が重要な働きをしており、そのため亜鉛が不足すると新陳代謝が低下し味覚障害となります。この症状は一過性のもので、味覚を正常に戻すためには亜鉛を積極的に摂取することで改善できることが確かめられています。
おいしい食生活を続けるためにもまずは正しい食生活を送ることを心がけましょう。