健康辞典「栄養成分のこと」

キャッツクローは南米ペルーのアマゾン奥地に自生するルビアセア科(和名:アカネ科)ウンカリア属(和名:カギカズラ属)の木本性大型蔓植物です。その名の通り蔓の部分に“猫の爪”に似たカギ状のとげがあります。
その歴史は古く、インカ帝国時代から先住民族によってリウマチなどの痛みに対する伝承薬として樹皮が利用されてきました。
アマゾンの熱帯雨林では、ウンカリア・トメントサとウンカリア・ギアネシスの2種類が互換的に利用されていますが、ウンカリア・トメントサには他のウンカリア属にはない特有のアルカロイド※1が含まれています。
※1)アルカロイド
分子内に窒素を含むアルカリ性の植物又は動物成分の総称で、少量でヒトや動物に強い作用を示すものが多く、古くから医薬・農薬などとして使用されてきました。
当時大統領であったアルベルト・フジモリ氏によって、抗炎症作用を持つキャッツクローの産業価値が見出され、人工的に計画栽培されるようになりました。1996年2月13日のペルー新聞にも掲載されたこの政策は「フジモリ計画」と呼ばれる国家プロジェクトで、植樹は100万本にも及びました。
その背景には、貧困な現地住民の現金収入源となっているコカ(コカインの原料)栽培からの転換という意図があったと言われています。
キャッツクローという名前は他の薬用植物に比べ、やや聞き慣れないのでないでしょうか。おそらく多くの薬用植物がヨーロッパやアジアを原産とするのに対し、南米熱帯アンデス山脈を原産としているのが少なからず影響しているのではないでしょうか。事実、南米産の薬用植物は聞き慣れないものが多くあります。だからといって、ハーブ医療の世界で活躍していない訳ではありません。キャッツクロー以外にも有名な南米産の薬用植物があります。それは17世紀の西洋医学史上、最も重要な発見のひとつに数えられます。それがキナノキです。
この植物も南米熱帯アンデス山脈の原産で、偶然にもキャッツクローと同じアカネ科に属します。その樹皮にはマラリアの特効薬であるキニーネが含まれています。このキニーネが発見されるまでマラリアの特効薬はなく、ヨーロッパの人々に大変恐れられていました。
あの世界征服を目指したアレキサンダー大王も東方遠征中、32歳という若さで熱帯熱マラリアにかかり、死んでいます。このキニーネ発見により、18世紀以降のヨーロッパ諸国による熱帯地方進出が早まったといわれています。
キャッツクローもキナノキに負けず劣らず南米を代表する薬用植物になりつつあります。
特に、1994年のWHOによるジュネーブ会議では副作用のない抗炎症剤として公式に認定され、それ以降、さまざまな分野のハーブ医療の現場で研究がされています。そして、抗炎症作用以外にも血圧降下作用をはじめ、ガンやエイズといった身体の免疫機構にネガティブな影響を与える疾病の補助的治療薬として評価を得ています。