「血糖値が気になったら飲む・・」「血糖値が気になったら食べる・・」など、最近、血糖値が気になったらという健康飲料や健康食品が多いと思いませんか。すでに飲まれたり食べられたりした方も少なくないと思います。 私はこのような広告を新聞、雑誌やテレビで見る度に不思議な気がします。わたくしが引っかかる点は、血糖値が気になる人とは誰のことだろうという点と、このような健康飲料を飲んだ効果をどうやって知ることができるの だろうという点、いつまで飲み続けるのだろうという点です。
まず、1点目の誰向けの商品なのかという点です。このような「血糖値」関連の商品の対象は糖尿病の予備軍です。厚生労働省が、これらの商品にお墨付きを与えているのは、“糖尿病”がわが国で大きな健康上の問題となってきたので、
予備軍の人が正規の“糖尿病”になるのを防ぎたいからです。“糖尿病”とは、つねづね「血糖値」が高く、高い血糖値が長く続くとさまざまな合併症を引き起こす疾患です。
糖尿病の患者さんは、医師から「血糖値を下げましょう」「血糖値が高いと合併症が危険ですよ」と言われていますから血糖値をいつも気にしています。ですから、「血糖値が気になったら・・・」という商品を見ればすぐに飲んだり食べた
くなるでしょう。しかし、これらの商品の隅から隅まで捜しても“糖尿病”の字はありません。つまり、“糖尿病”の方々の血糖値を下げるとは、メーカーも厚生労働省も言ってないわけです。厚生労働省がお墨付きを与えているのは、
食後に若干血糖値が高くなる軽い予備軍の人で有効かもしれないという程度です。しかし、“糖尿病”の方々は血糖値が気になりますから、ややまやかしの広告コピーにしばしば惑わされてしまいます。“糖尿病”の方々にとっては、血糖
値をもっと確実に下げるのみ薬やインスリンがあります。保険でこれらの薬を用いたほうが、健康食品を買うより安価で確実です。
私の第2の疑問点は、これらの健康飲料の効果を知る方法です。つまり、これらの商品を用いて、気になる「血糖値」が下がったか否か、どうやって知るのでしょう。似たような商品のやせ薬を例にとってみましょう。やせ薬ややせ食品であれば、 体重計で測ったり、ウエストを測って改善しなければ、効果がなかったとわかるわけです。痩せなければ、商品に効果がないとして止めるか、他のものに替えるでしょう。しかし、“血糖値”関連の商品では、用いる人は通常“血糖値”を測らな いので商品の効果が分からないわけです。効果が分からなければ、これらの商品を用いているかいがないのではないでしょうか。「血糖値」が下がったか下がらないか分からなければ、いつまで飲み続けるべきなのかも分からないのではないでしょうか。
これらの問題点を解決するには、気になる「血糖値」を測れば良いわけです。測れば、これらの健康飲料の効果も確認できますし、効果があれば継続し、効果がなければやめれば良いわけです。そこで問題になるのが「血糖値」を医療機関以外で測れるのか ということです。実は、「血糖値」は小さな機械で、血圧と同じように測ることができます。そして、糖尿病でインスリン治療を受けている患者さんの多くは、この“血糖自己測定”という方法を行っています。“血糖自己測定”というのは、患者さんが自 分自身の指先や掌から細い針で血液を出して、40-100gの小さな血糖測定器につけた血糖センサーにつけて測定する方法です。血液を血糖センサーにつけると、約5−30秒後に血糖値が表示されます。インスリン治療中の方は、この測定結果を用いてイン スリン治療を調節します。
この血糖測定器は大きな薬局では扱っているようですが、どのような時に、何回測るか、測った結果をどう解釈するかという点などがあるので、医師と相談されたほうが良いでしょう。その時に、どの程度「血糖値」を気にすべきか、医師と相談するのが良い
でしょう。一般的に、「血糖値」を気にした方が良い人というのは、検診で糖尿病予備軍といわれていたり、両親や兄弟に糖尿病の人がいたり、太っていたり、食事やアルコールがコントロールできない人々です。このように“糖尿病”のリスクが高い人は、
血糖値を気にするべきですので、健康飲料を飲む前に受診し、医師の指導を受けて血糖値を自分で測りましょう。インスリンを用いていない人では、健康保険は効きませんが、体重計も体温計も血圧計も健康保険は効きません。
要するに、糖尿病のリスクの高い人は、健康飲料を飲む前に自分の血糖値を知って、冷静に生活習慣を見直しましょう。