健康辞典「病気のこと」
痴呆とは脳の働きが損なわれることによって知的な能力が著しく低下し、それに伴い人間的に活動できなくなる状態のことです。痴呆は老年者に主として使用される病名です。老年期の痴呆はアルツハイマー型老年痴呆と脳血管性痴呆の2種類に大別されます。
| 日本における老人性痴呆の種別割合 | |
|---|---|
| 脳血管痴呆症 | 60% |
| アルツハイマー型老人性痴呆 | 30% |
| 混合型 | 10% |
アルツハイマー型の痴呆はその原因がわからず、予防や治療の手立ての無いものとして医療の圏外に置かれてきました。しかし、高齢者の多い社会になるにつれて痴呆の人の数が著しく増え、社会や経済に及ぼす影響も大きなものになってきました。
最近の研究では徐々にではありますが、アルツハイマー型痴呆の発生メカニズムが分かってきています。それに伴い、治療や予防に有効な薬の開発も進んできています。
脳血管性痴呆
脳梗塞、脳出血などの脳血管障害を発病した後に急速に症状が出てくる場合が一般的です。つまり脳血管障害の起こる原因である脳の動脈硬化が脳血管性痴呆の主原因と言うことができます。
アルツハイマー型老年痴呆
加齢が極めて大きい役割を果たしています。家族性アルツハイマー病の家系では、アルツハイマー病の遺伝子がわかっており、この遺伝子に異常があると、遺伝的にアルツハイマー病を発症する可能性が高くなります。このような場合を家族性アルツハイマー病と呼びます。家族性以外のアルツハイマー病に関しては、生化学的に脳の代謝、主として神経伝達に使われる物質が正確に代謝されないことが大きな原因と考えられています。老人斑とアミロイド沈着、神経原繊維変化の生化学などがアルツハイマー型の痴呆の原因追求の中心になり、細かい分子のレベルでの原因解明が進められています。
痴呆の診断には、様々な診断基準が使われています。一般的にはある一定の評価尺度に基づいて記銘力・記憶力障害・見当識障害を評価する方法が使われています。形式としては患者に色々な質問をし、その答えを参考にして評価する方法が主に使われていますが、患者の行動を主として評価する方法もあります。典型的な診断基準を簡便にまとめると以下のようになります。
痴呆の初期症状は多種多様に現れます。例えば、自分の年齢、年月日などを言えないにも関わらず計算力には障害がない場合があったり、人との対応には異常が見られないのに、記憶力がおかされている場合などがあります。
記憶障害の典型的な例として、最近の出来事を忘れて、同じことを何度も家族に質問するというような些細なことから症状が現れてきます。記憶障害が進んだ時の例として、よく通い慣れた道で迷子になったり、病棟で自分の部屋や便所がわからなくなったり、自宅にいるのに「家に帰ろう」と言い出したり、というようなことが起きてきます。
その他の痴呆の症状として、感情の障害もあげられます。病者が自分の行動についての自信を失い、失敗を恐れ不安になるというような場合です。
症状がひどくなると、夜中に家の中を徘徊したり、不潔な行為をしたりという行動の異常が見られるようになります。
脳血管性痴呆の場合
原因は脳の動脈硬化ですから、これを防ぐことによって予防も可能になります。脳の動脈硬化の進展に最も強い影響を与えるのは高血圧と高脂血症です。肥満や糖尿病が高血圧、高脂血症につながりますので、若い時期からの食生活、生活様式に気を付ける習慣が必要になります。
アルツハイマー型老年痴呆の場合予防
効果的な予防因子は現在のところわかっていません。しいてあげれば脳の老化を予防するということになります。脳の老化を防ぐには脳の使い方が重要になります。具体的には見たこと、聞いたこと、感じたことを文章などで表現する、事柄に対して決断する、周りに気配りをすることなどが挙げられます。運動することも大脳皮質の循環・代謝が盛んになり、血流が増加し、脳の老化の予防に役立ちます。
●注目の成分『イチョウ葉エキス』
痴呆の予防効果に最も高い期待が寄せられているのがイチョウ葉エキスです。
イチョウ葉エキスには動脈硬化を防ぐ働きがあることが知られていますので、脳血管性痴呆を予防する効果が期待できます。
欧米で実施された臨床試験では軽度から中程度のアルツハイマー病患者にイチョウ葉エキスを飲ませると痴呆を改善する効果が見られたという報告もあります。このような結果をもとに欧米では痴呆症のための医薬品としてイチョウ葉が使われていますので、イチョウ葉の痴呆に対する効能はかなり信用性の高いものと言えます。